日本の森は今
国土の67%が森林に覆われている日本。文字通り「緑の列島」と言えますが、一歩森の中に入ると、様々な問題に気づきます。
例えば、戦後荒廃した国土を、緑化や木材生産を目指して植えられた、スギやヒノキといった針葉樹。植林されて50年以上経った今、本来であれば収穫の時期に当たるものが多いのですが、適切に管理されていない林では暗く、細い木が多く、台風や雪害による倒木の危険があります。
また、里山の暮らしに欠かせなかった竹林も、利用されなくなってどんどん拡大し、家屋や人工林に侵入して悪影響を与えています。竹林だけではありません。田畑も耕作されなくなることで生態系が変わり、メダカやトンボといった「当たり前の」生き物たちが姿を消しつつあります。
日本では「手を触れないことで守られる自然」がある一方で、「手を入れることで維持・保全される自然」もあります。
60年ほど前は、当たり前の暮らしの中で利用してきた自然を、現代の暮らしの中でどのようにつなぎ、捉えなおしたらよいのでしょうか。
ろうきん森の学校が掲げる大きなテーマは「森づくりから始まる人づくり」。森の手入れや耕作放棄地の再生を通じて、自然の不思議、楽しさ、そして厳しさを感じ、さらには一緒に活動する仲間との絆、地域の人々との交流を深めていきます。